第２２回　２００４年３月11日

今日は・・・。サーカスの話。

僕は、昔・・・。近くのはらっぱや駐車場にサーカスを見に行ったもんでした。

大掛かりな仕掛けの無いテント小屋。
ライオンも象もいないサーカス。
ポニーが頑張るサーカス。
ピエロたちが主役のサーカス。

だいたい年に一回のペースで僕らの街に「サーカス団」はやってきました。
僕は毎年のように親にせがんで「サーカス」を幾度も見ました。

会場はいつだってテント小屋で。
赤と青と白のコントラストが映えるテント。
それが近くにあるだけで、いつもの駐車場がぜんぜん違う場所に思えました。

父や母の手をひいて、はやる心でひっぱる手。
あの興奮は、幼い僕にでもあまりない気持ちでした。
サーカスを見ることの楽しみ。僕はうきうきした気分で駈けるようにテントに向かったものでした。

テントに入ると。外から見ているよりも狭い空間に思えました。
すぐそこにステージがあります。
柵も何も無くて。
すわる場所もそれほどの席がないから、たとえ満員になっても全員が良く見えました。

すこしづつ開演時間が近づくにつれて、席が埋まっていきます。
クラスメイトの顔もちらほら見えます。
お互い、手を振ったりして合図を交わました。
明日、学校でサーカスの話題になるだろう。って、
そう思うだけで、胸が躍るのでした。

やがて・・・。
開演の時間が来ます。

ドラムロールがステージ前方のスピーカーから鳴り響いて、
その少し後にライトに照られた団員たちが現れます。

手を振るピエロ。自転車に乗るピエロ。
ポニーを登場させるおねえさん。
いかにも団長らしいおじさん。
みんな笑顔で僕らに手を振るのです。

これから、1時間くらい。
笑いながら、サーカスの時間を楽しむ。
そう思うと、お客の僕らも笑顔になったものでした。
連れてきてくれた親は、そんな僕の顔に喜んでくれていたのかもしれないですが・・・。
素直な気持ちで笑顔でいれる時間が確かにそこにはあった。そう思えるものです。


けれど。いつからだろうか・・・。
ばったりと、サーカス団が来ることはなくなった。
僕は残念だった。
最後の方の公演はたしかにお客が減っていたけれど・・・。
きっと。またきてくれるものと思っていた。

あれから・・・。僕はサーカスらしいサーカスを見ていない。
大掛かりな仕掛けのサーカスは何度か見たけれど・・・。
あの頃見た「サーカス」のような「うきうきさせるアットホームなサーカス」は・・・。
あれからは見ていない。

サーカスを見る人が少なくなった・・・。と聞く。
凄く残念だけれど・・・。僕もその一員だ。
それは、近くでやっていないからかもしれない・・・。
そして。。。
やはり。アットホームなサーカスにあえるチャンスが少なくなったからかもしれない。

僕は思う。
あの日。この近くでの公演としては、最後になったサーカス。
そのピエロ。
ピエロの涙は星。
いつだって輝く星だった。
いくつもの星だ。
僕の心では。。いまでも輝く星だ。笑顔の星だ。

いま、あのときのピエロは・・・。
ピエロの星はどこで輝いているのだろうか？
今も輝いているなら・・・。もう一度見てみたい。
悲しい星で無くて・・・。 笑いの星の「ピエロのなみだ」にあえるなら・・・。


サーカス団のＨＰ　（各サーカス団）
キグレＮｅｗサーカス　 http://www.kigure-circus.com/
木下サーカス　hhttp://www.kinoshita-circus.co.jp/
ポップサーカス　http://www.pop-circus.co.jp/