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Sugarpot 書き下ろし


「いつか、どこかで・・・。」
それはとても優しげな言葉だけど・・・。
ひそかに・・・儚げに思える・・・。

「笑っていられたら。。。」

強い人なのだろうか・・・?

今でも、ふとした瞬間。思い出す・・・。
電車に揺られて何気ない日々の風景を眺めながら・・・。
湯船につかって、ぼんやりと天井見上げながら・・・。
風の強い朝。窓叩く音で起きてしまったベッドにもたれながら・・・。

何時だって。。僕は・・・。愚かだった。。。
何も出来なかった・・・。 幼かった日々が重たくて・・・。

「いつか・・・。いつか・・・。」

僕はいつまでもまぼろしを追うように・・・。
決して掴むことが出来ない・・・。
闇の中を当てもなく追い求めても・・・。
たどり着かないのに・・・。

あの日には帰れない・・・。
あの日の僕も・・・。もういないのに・・・。
僕はあの日の僕ではなくなったのに・・・。

「時が経てば忘れる。。。」
誰かはそう言った・・・。

時が流れる・・・。
あの時間から・・・。 再び・・・。


プロローグ

まるで。。悪い夢を見ているようだった。
けれど、夢ではないこと。は意識下では理解していた。
現実に目の前にあること、として認識していた。

騒ぎ出す群集にまぎれていた。
僕だけが呆然としていた。

辺りの人間は後ろへ、とにかく後ろへ向かっていた。
それは人間本来の本能、逃げ出す用意なのか?
それとも現実に起こった恐怖からの逃避なのか?
オクターブの高い悲鳴が響いていた。

ここは講演会場だ。 定例会ではなく、今日は特別な講演会だった。
講演者は僕の父だ。
何事も無ければ。。。 2時から始まった講演は3時に終わるはずだった。。。

けれど・・・
終わったのは2時だった。。。
僕は、その瞬間。気を失った・・・。

たまたま学校が休みだったから、僕もたまたま顔を出した。
午後2時。多くの人が詰め掛けた会場は満員だった。
その多くの人の前で・・・。 彼は亡くなった・・・。
父は・・・倒れた・・・。
僕はその場で気を失って、取り戻した時には父は息を引き取っていた・・・。

不思議だった。
ずっと、涙は出なかった・・・。
ただただ、病院で永遠の眠りについた父を前に立ち尽くしていた。
それは自分の意志にも思えた。
すぐにはこの場を離れる気にならなかったから・・・。

やがて、皆がいなくなり・・・。
二人きりの部屋にいると、
1人の看護婦さんが声をかけてくれた。

 「時が経てば、わすれるよ・・・。」

僕はその一声で初めて涙がこぼれた・・・。
こぼれ始めた涙は止め処が無かった。
しょっぱい涙に味がなくなってしまっても・・・。
声がしゃがれて、嗚咽もままならなくっても・・・。
泣きつづけた。。。

あれから5年が過ぎた。
僕は今でも鮮明に浮かぶ・・・。
「時が経てば・・・わすれるよ。」と、言われたあの時間を忘れない。

忘れたいのか?忘れたくないのか?
自分にも分からない。
けれど、そのどちらだとしても・・・。
「忘れることはなかった」

忘れるのならば、あとどれくらい経ったら忘れるのだろうか?
5年では早いのだろうか?
もっと。もっと。「時が経てば忘れるのだろうか・・・?」

晴れた日の午後。
ふと何気ない日の空。
見上げた空には真っ白い雲。
これ以上白くなったら、キレイでなくなるような、そんな色の雲。

「夢」なんて見たくなかった。
「希望」なんて安っぽいものだって、思っていた。
「奇蹟」なんて信じていなかった。

今でも心の片隅にはその想いが覗くときもある。
けれど、ふりそそぐ雨がやまない限り。
傘をさしてみることにする。
晴れる日が来なくとも・・・。 来ないと知っても・・・。

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「私たちは何のために生きるのでしょうか?
 どうして生まれてきたのでしょうか?」

その子は私にそう問い掛けました。

夢の実現・・・とか、考えましたけれど・・・。
では、何故夢を実現したくなるのか? と、追求しようものなら・・・。
嬉しいから・・・。
と、思い浮かびました、けれども・・・。
それではそもそも、何故嬉しい気持ちになりたいのか?
うれしくなったから、どうにかなるものではないのではなかろうか? と、考えるわけです。

あなたならこの答えがおわかりでしょうが・・・。
私にはわからないと・・・。

ですから、この手紙をお送りした次第です。
ぜひ、その子に・・・。
いや、このわたくしに答えを教えていただけますか?
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